特定秘密の報道は「抑制すべきだ」:自民党の恫喝にメディアはどう応えるか

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秘密保護法が与党によって強行採決され、いよいよこの歴史的な悪法がどのように運用されるのか、注目が集まっているところだが、与党自民党の石破幹事長が早速アドバルーンをあげた。いわく、「特定秘密保護法で指定された秘密を報道機関が報じることについて<何らかの方法で抑制されることになると思う>」と。

一方で安倍首相自身は、国民の知る権利は配慮されると言って、無用の心配はしないでほしい、というようなことを言っているわけだが、どちらが政権与党の本音なのか。普通の頭で考えれば、石破幹事長の言葉を本音と受け取るだろう。

石破幹事長のこの言葉は、報道機関に対する恫喝のようなものだ。秘密報道について抑制されるというのは、秘密に対する取材を政府が抑制する、つまり弾圧するということを意味するとともに、報道機関のほうでも政府の秘密を嗅ぎまわるようなことをするな、つまり自主規制せよ、という脅しだろう。

こんな脅しに対して、日本のメディアはどのように応えるのか。

アメリカのような国でも、政府による情報隠しは日常的にあり、それに対してメディアの方では政府の鼻をあかすような手段を用いて情報を獲得している。時には、その取材ぶりを犯罪に問われて、豚箱に入れられる記者もいるという。それでも記者たちは体を張って情報へアクセスしている。税金で仕事をしている国家権力を監視するのがジャーナリストの本来の役目だという職業倫理が徹底しているからだ。

日本のジャーナリストにはそこまでの覚悟があるか。サンケイや読売のような自民党政府の御先棒担ぎに堕しているところは度外視して、国民に代って国家権力を監視するという気概を持ったジャーナリストが果してどれだけいるか。ジャーナリストの資質は、その国の民主主義の成熟度をはかるバロメーターともいわれる。彼らのこれからの姿勢が問われる。


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