浅間山麓を歩く

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七時前に起床して風呂を浴びに行った。昨夜一度しか浴びてないので、この朝は二度浴びるつもりで、早く起きた次第。いつもなら八時近くまで寝ているので、松子などは珍しく早起きだねと言って冷やかしたほどだ。風呂上りには缶ビールを飲む。これも松子が未明に買い出してきたものだ。彼の細かい気配りには感謝するほかはない。

八時に朝餉をなし、その帰りに屋上にのぼって浅間山を見ようとしたのだが、あいにく霧が深く立ち込めて山容を見ることが出来なかった。部屋に戻ってくると、テレビが関西で大地震があったと伝えている。どうも大阪北部が震源の直下型地震らしい。震度六というから、かなりの烈しさだ。まだ被害の詳細は明らかになっていないが、この規模からすれば、相当のダメージがあったに違いない。この地震のおかげで、我々が昨日遭遇した震度五の地震は陰にかくれてしまった。

食後出発までに時間の余裕があるというので、もう一度風呂を浴びにいった。風呂からあがると落子はまた酒を飲みだしたが、小生にはそんなゆとりはない。今日も車酔いにならないように、トラベルミンを飲んだ。

十時ちょっと前にホテルを辞して車を出した。まず付近の浅間牧場というところを訪ね、そこで小動物と戯れた。ヤギやウサギ、アルパカなどがいる。松子がヤギの餌(キャベツ)を買ってヤギに与えたところ、三頭いるヤギのうち、白くて長い角をはやしたやつがほかのヤギを押しのけ、自分一人で餌を独占した。ヤギの世界にも弱肉強食の掟が働いているらしい。

この牧場を見た山子が感想を漏らして言うには、東京のさる区にもこのような施設をPという会社が作ったが、都会でこういう自然との触れ合いの場を作るのは、コンセプトとしてよい、と。そこで小生は、Pとはあの学者面した小悪党が運営している会社じゃないか、そんな会社がなんでまた自然との触れ合いなんどと言い出したのかな、と言ってやった。すると山子の細君が、Pって人を売り買いする会社でしょ、人を売り買いして搾取するのはよくないですわ、と言った。小生も同感である。

そのあと長野県側に出て、軽井沢の星野エリアという所に立ち寄った。別荘客相手の、ある種のアウトレット地帯で、平日にかかわらず大勢の人たちが散策している。犬を連れている人間を多く見かけたが、彼らは別荘族だろうと松子が批評した。ここは犬を連れたままブティックや食堂に入ることができるので、別荘族には大人気らしい。ということは、日本の別荘族はみな犬を飼っているということか。

エリア内のさる蕎麦屋で昼餉をなした。蕎麦屋はこれ一軒しかないとあって、店先には昼前から長い列ができていた。どうしようかと迷ったが、ほかに適当な食堂が見当たらぬので、ここで行列に並ぶこととした。

そんなわけで行列に並び始めてから蕎麦が出てくるまでちょうど一時間かかったが、急ぐ旅ではないし、とくにイライラしたりはしなかった。店に招き入れられてから注文の蕎麦が出てくるまでに、信州の地酒「夜明け前」をグラスで二杯飲んだ次第だ。その蕎麦だが、小生と松子は天ぷら蕎麦を食った。落子はただのもりそばを、山子夫妻は鴨せいろそばを食った。天ぷら蕎麦はたいしたボリュームで、蕎麦汁の味もまあまあだった。一方値段の方はと言えば、蕎麦も酒も強気の設定だったが、それは金持ちの別荘族相手がしからしむるところか。

かくしてこのたびは浅間山麓をぐるりと回って初夏の自然を堪能し、夕方までに東京へ戻った次第だ。一泊の旅としては丁度良い。それにしても浅間山麓の緑のまぶしさは、命を洗われるようで、いくつか若返ったような気持になったものだ。





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