日本武尊 川上梟帥(芳年武者無類):月岡芳年

| コメント(0)
honen1883.2.jpg

「芳年武者無類」は、明治十六年から刊行した武者絵のシリーズで、全三十三図からなる。神話時代から戦国時代までの英雄たちを描く。武者無類には「むしゃぶるい」をかけている。言葉通り武者震いがするほど雄々しい英雄たちの活躍が、スナップショットのように切り取られている。

これは日本武尊が川上梟帥を倒した一瞬を描いたもの。日本武尊は幼名を小碓といったが、勅命によって九州の熊襲退治に向かった。そして敵を油断させるために女装して近づき、首領の川上梟帥を刺殺する。梟帥は息を引き取る間際に小碓の勇気をたたえ、「日本武尊」の名を与えた。

これは小碓が短剣で梟帥を一突きするところ。小碓は女装して髪も長く垂らしている。一方不意を突かれた梟帥は驚きの表情を見せている。

人物の背景として円形のぼかしを入れ、人物が浮かび上がる工夫が施されている。

(明治十六年<1883> 大判錦絵)






コメントする

アーカイブ