佐藤四郎兵衛忠信(皇国二十四功):月岡芳年

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「皇国二十四功」は、日本の歴史上忠孝で名高い人物二十四人を取り上げたシリーズ。師匠の国芳が、「本朝二十四功」と題して同じようなシリーズを刊行していたが、両者の間には、四人が共通しているだけで、大部分は異なった人物である。

これは義経の忠臣佐藤忠信を描いたもの。忠信は兄の継信とともに義経四天王と呼ばれた。継信は八島の戦いで戦死するが、忠信は義経の都落ちに従って戦い続けるも、最後は義経と別れ、鎌倉の派遣した御家人と戦って死んだ。

忠信と言えば、吉野での僧兵との戦いが有名だ。この図柄はその模様を描いたもの。僧兵に負われた忠信が、塔の上から向こう側へ飛び移ろうとする瞬間を描く。静止した姿に運動の一瞬が凝縮され、あたかも高速シャッターで切り取った写真を思わせる。

(明治十四年<1881> 大判錦絵)




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