紅白梅図屏風:尾形光琳

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尾形光琳最晩年の作品である「紅白梅図屏風」は、光琳の代表作というにふさわしく、光琳生涯のすべてが込められている作品である。構図の綿密さ、色彩のあでやかさ、そして躍動するリズム感は、宗達を引き継ぎながらそれを超えるものを見る者に訴えかける。

構図的には、水流を囲んで、左右に花ほころびる梅の木を配している。その対比が絶妙である。右隻の梅は太い樹幹から伸びた枝に紅梅の花を咲かせ、左隻の梅は大きく垂れ下がった枝に白梅の花を咲かせている。単純な対称性ではなく非対照的な描き方のなかにも、そこに対称性をもたらす安定感のようなものを感じさせるのは、光琳の円熟の現れだろう。

中央の水流が、周りの金地と対照的に、いぶし銀の渋さを感じさせる。この銀は酸化しているために黒々と見えるが、これは当初からこのように見せるために、光琳があらかじめ酸化させた銀を使ったのだと思う。

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これは右隻。樹幹の青い苔はたらしこみの技法で描きこまれている。

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これは右隻の一部を拡大したもの。たくさんの赤い蕾にまじって、開いた花がいかにも様式的な感じを与える。

(紙本金地着色 二曲一双 各156.5×272.5cm MOA美術館 国宝)






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