狩野正信「周茂叔愛蓮図」

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狩野派の創始者狩野正信は、室町幕府の御用絵師として活躍した。以後狩野家は、時の権力者と結びつき、その政治的影響力を駆使しながら、画壇を支配していくわけである。そういう意味では、正信は狩野派の創始者としての面目躍如といった趣を呈している。

正信の画風がどのように形成されたか、詳しいことはわかっていない。幕府御用絵師の小栗宗湛に師事したとか、土佐派の影響を受けたとか、色々説がある。幕府の御用絵師の立場を確立したあとは、足利義政の東山山荘の障壁画とか、日野富子の肖像画を手掛けている。

この「周茂叔愛蓮図」は、正信の代表作である。一見して漢画の影響を指摘できる。この他の作品にも漢画の影響は色濃い。図柄のみならず、モチーフにも中国の人物を取り入れている。周茂叔は北宋時代の儒学者で、宋学の創始者といわれる人物である。(掛軸装 紙本墨画淡彩 84.5×33.0㎝ 九州国立博物館 国宝)







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