狩野永徳は、京都大徳寺聚光院方丈のために十六図からなる山水花鳥図を制作しているが、この「梅に小禽図」はその一部。四面の襖をつかい、画面いっぱいに枝を伸ばした梅樹と、その幹にとまる小禽を描いている。
画面いっぱいに樹木を描く手法は「檜図」にも見られたが、これはまたちがった趣をたたえている。檜図の荒々しい感じにくらべると、ずっとおおらかさを感じさせる図柄である。十六図の中ではもっとも充実した作品である。
これは幹の部分を拡大したもの。ジグザグに屈曲した幹からは、多くの枝がのび、幹の一端にとまった小禽が、絵に強いアクセントを与えている。(永禄九年<1566> 紙本墨画襖絵 各175.5×142.5㎝ 京都国立博物館 国宝)
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