竹林猿猴図屏風:長谷川等伯

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京都相国寺にある「竹林猿猴図屏風」は、中国の画家牧谿の「観音猿鶴図」を意識している。等伯は、三玄院所蔵の牧谿の絵を、同院のために「山水図襖」を描いた際に鑑賞し、それをもとにこの作品を作ったのだと思われる。牧谿の作品は、中央に観音を描き、その両脇に猿と鶴を描いているが、等伯のこの作品は、左隻に竹林を描き、右隻に猿の親子を描いている。

これは猿を描いた右隻。猿の描き方に、牧谿の強い影響を見て取ることができる。牧谿のこの猿の表現方法は、等伯に限らず、多くの日本画家が真似したものだ。牧谿の猿の図は、母猿と子猿を描いているが、等伯のこの絵には、父猿を加えて、家族的な雰囲気を演出している。

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これは竹林を描いた左隻。墨を薄く塗った上に、濃い部分を描き加え、画面にメリハリを持たせようとしている。(紙本墨画 六曲一双 各154.0×360.8cm 相国寺 重文)






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