年をとると嚥下が下手になる

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中央公論2019年7月号に、今年87歳になる五木寛之と83歳になる横尾忠則の対談が載っていた。「生涯現役をめざして」というタイトルのとおり、死ぬまで元気に生きようという決意を互いに述べ合ったものだが、その秘訣、つまり死ぬまで元気でいる秘訣は、上手にボケることだそうだ。小生も含めて大部分の人間は、それも高齢者といわれる身分の人間は、自分だけはボケたくないと思っているだろうから、これは蒙を啓かれるような言葉だ。上手にボケたほうが、ボケないで頑張っているより、なにかと便利だと言われれば、あるいはそうかもしれないと思ったりする。

年をとって困ることは、ボケもさることながら、嚥下が下手になることだと五木がいう。誤嚥性を含む肺炎は、死因の第三位といわれるくらい、誤嚥は深刻な問題だというのだ。じっさい、五木自身も、薬を飲みそこなってむせることが多いのだそうだ。そこで、犬を見習って、首筋を伸ばして、顔を上向きにして飲むようにしているという。犬は、好物を他の犬に横取りされないように、噛まずに飲むことがあるそうだが、その飲み方がまさしく、顔をぐっと上に向け、喉を伸ばすやり方だというのだ。犬も意外と賢いらしい。

小生も嚥下に苦労することがままある。さすがに食べモノを嚥下できないことはまだないが、薬の嚥下に困難を感じることはある。そこで小生が実践しているのは、なるべく背筋を伸ばした状態で、口に含んだ水に薬を馴染ませるようにして、薬を水と一緒に呑み込むように努力することだ。これだとだいたい嚥下に成功する。だが時たまは、これでも嚥下できないで、薬だけ口の中に残ってしまうことがある。そんな時には、五木が言うように、犬のマネをしたらいいのか。

ボケについていえば、小生もボケを恐れるのではなく、ボケと上手に付き合う気持ちで暮らしている。年をとったらボケるのは当たり前で、大事なことは、そのボケを上手にやり過ごすことだ。ボケを恥じていては、愉快に人生を生きることはできない。だから、家人にボケをなじられても、小生は気にしないことにしている。ボケるのは当たり前で、お前さんもそのうち同じようになるよと開き直っている。横尾忠則も、アホになって、ずっと絵を描いていたいと言っていた。





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