犬追物図屏風

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犬追物図は、武家風俗の画題として、桃山時代以降好んで描かれた。十数点が現存するが、そのなかで最も古く、また作品として優れているのは、常盤山文庫所蔵のこの図屏風である。六曲一双の図屏風で、左隻には、大繩の外に出た犬を追っているところが描かれ、右隻には、馬場の中央に引き立てられた犬を、大繩沿いに並んだ騎馬武者が待機するところを描いている。

上の図は、右隻の部分を拡大したもの。円形にめぐらされた大繩の外周に、馬にまたがった武士たちが並ぶ中、円の中央には犬放ちと判定役の検見の姿が見える。この犬が、縄の外に逃げ出るまでの間に、武士たちが弓で射止めるのである。この図の中の犬は一匹だけだが、数十匹を同時に放つこともあった。

この図は狩野派の絵師狩野山楽の作品だと言われる。犬追物図としては先駆的な作品で、後にこの図を手本として多くの作品が作られた。

(紙本金地着色 六曲一双 常盤山文庫 重文)






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