原発マフィアの利権構造:関西電力幹部のキャッシュバック問題

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関西電力の幹部が、不明朗な金品を受領していた問題が大きな騒ぎを引き起こしている。金の出どころは原発立地自治体の元助役で、その金の大本の出どころは関西電力の工事を請け負っていた企業だ。つまり工事代金の一部がキャッシュバックの形で関西電力の幹部にわたっていたということで、これは古典的な汚職の構図と同じものだ。

この問題でわからないのは、何故関西電力の幹部が、立地自治体の幹部から金を受け取っていたかだ。素人考えでは、関西電力のほうが、企業運営上、立地自治体に気を使うというのが自然で、したがって関西電力が立地自治体の幹部に賄賂を贈る動機はあっても、立地自治体の幹部が関西電力に賄賂めいた金を贈るのは、ちょっと理解に苦しむところがある。

事件の全容が明らかになっていないので、推測の域を出ないが、普通の頭で推測すれば、立地自治体の助役には、なにか関西電力に金を贈る理由があったに違いない。その理由はおそらく、関西電力と立地自治体の助役との間に、利権の共同体のようなものができており、その共同体の仲間意識から、助役が関西電力の幹部に金を斡旋していたということではないか。要するに、関西電力というものを食い物にしていたということではないか。

最大の役割を果たした助役が死んでしまっていて、事件の全容がわからないことをいいことに、関西電力の幹部は、責任を全部助役にかぶせて、自分たちは逃げ切ろうという意図がミエミエというふうに伝わって来る。この事件の最大の被害者は関西電力の利用者だろう。自分たちの支払った電力料金の一部が、キャッシュバックというかたちで、利権共同体をうるおしていたわけだ。

こういう利権共同体を、アメリカではマフィアというそうだ。この場合には原発をめぐる利権共同体が形成されていたようだから、それは原発マフィアといってよい。こういうマフィアがはびこると言うのは、日本という国にとって、決してのぞましいことではない。





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