庭の女たち(Femmes au Jardin):モネ

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「草上の昼食」を中断したモネは、同じようなテーマでもう一枚描くことを決意した。今度は、「草上の昼食」より小さなサイズで、戸外で完成させるように意図した。とはいっても、絵のサイズは2.5×2.0㎝もある。このカンバスの上部を描くためにモネは、地上に竪穴を掘ってそこにカンバスを埋め込んだのだった。そうすれば脚立を用意しなくとも描くことができる。

この絵はしかし不評に終わった。1867年の官展に出展したが落選した。人物像が背景の自然に溶け込んでおらず、またそのポーズ自体も不自然というのが理由だった。当時は、人物を描くことが名声を得る条件であり、風景画は重んじられていなかった。その風景画の中に、風景とマッチしない人物像を取り入れたというので、この絵は二重にけなされたわけである。

たしかに、今日見ても、この絵にはぎこちないところがある。それぞれの人物相互の間には何らの関連も見られないし、また人物一人一人のポーズも自然とはいえない。とりわけ右手の女性などは、顔を背けているだけに、なぜそのようなポーズをとっているのか、もうすこし見る者に伝わるものが欲しいところだ。

構図を別にすれば、この絵には独特のよさがある。それは光の処理の仕方にある。手前の女性のスカートを横切る影だとか、右手の女性のドレスを明るく浮かび上がらせる光線、そして左手の男女に落ちかかる明るい影、と言った具合に、光の層が明暗対比を利用して微妙に表現されている。こうした、光を強く意識した作品は、それ以前にはなかなか見られないものだった。そこにこの作品の新しさがある。

(1866年 カンバスに油彩 255×205㎝ パリ、オルセー美術館)





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