楊柳水郭図:雪村の世界

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「楊柳水郭図」は、中国の画風に倣った初期の作品。江岸の楊柳の陰で、碧水に浮かんだ水郭を描いたこの絵の構図は、伝馬遠作「周茂叔愛蓮図」を基にしていると思われる。構図を借りながらも雪村は、動静と陰影を加え、自分らしさを表現している。

前景を丁寧に、神経質なほど微細に描く一方、遠景の山はごく単純化して、しかも非常に薄く描いている。画面上方に大きな空間を配しているおかげで、全体として静謐な雰囲気を感じさせる。

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これは楊柳水郭の部分を拡大したもの。楊柳の枝は風に揺れ、その影の水郭は極端に反りあがった屋根がエキソチズムを感じさせる。この楊柳の枝の表現は、後に池大雅や与謝蕪村に影響を与えた。

(掛幅 紙本墨画淡彩 86.3×36.6㎝)






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