琴高群仙図:雪村の世界

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「琴高群仙図」は、琴高とその弟子たちにまつわる故事をテーマにした作品。琴高とは、中国の列仙伝に登場する仙人で、つぎのような逸話がある。琴高は趙の人であったが、山奥に住み、多くの弟子を持っていた。ある時弟子たちに向って、これから湖に潜って龍の子をとってくるから、皆は私の帰りを潔斎して待っていなさい、と。弟子たちが言われたとおりにして待っていると、赤い鯉に乗った琴高が水中より現われて、斎場の祠の中に座った。

この絵は、弟子たちが見守る中を、琴高が赤い鯉に乗って現われるところを描いたものだ。三福のうち中央に、赤い鯉に乗った琴高を描き、左右両幅にそれぞれ弟子の仙人たちを描いている。左福には四人の仙人と一人の童子、右福には三人の仙人と一人の童子、と言った具合だ。

琴高は巨大な赤い鯉にまたがっているが、龍の子を持っている気配はない。鯉と龍が入れ替わったのだろうか。その琴高に留目する仙人たちには、動きのようなものを感じることができる。なお、白文方印「雪村」は、風濤図のものより後に用いられたものである。

(掛幅三幅 紙本墨画 中122.0×55.0㎝ 左右122.0×56.5㎝ 京都国立博物館 重文) 






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