松に孔雀図襖:円山応挙

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兵庫県香住の大乗寺には、応挙が一門をあげて多くの襖絵を制作した。これはその一部。寺の主室である大広間を飾るもので、全部で十六面あるうちの一部だ。

松の巨木を背景にして、その下に安らぐ孔雀を描いている。墨画であるが、金地が効果を発揮して、モノクロな印象にはとどまらない華やかさを感じさせる。応挙は墨を用いながら、そこに色彩を感じさせるように、細心の技術を使っている。

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これはオスの孔雀の部分を拡大したもの。いまにも羽を広げんとする姿を描く。応挙は、写実のなかでも絵に華やかさをもたせるために、部位ごとに筆使いを変えている。たとえば、胸の部分は墨をたっぷりと塗り、尾羽の部分は硬質の線で描くといった具合だ。

(寛政七年<1795> 紙本金地墨画 各205×115cm 大乗寺 重文)






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