初冬の花:鏑木清方

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第六回七弦会に出展した「初冬の花」は、二曲一隻の屏風に、装飾画として描いたもの。「妓女像」の中の鼓を打っている人をモデルにして、それに明治の装いをさせたと清方自身が言っている。タイトルの「初冬の花」とは、初冬に彩りをそえる花のような雰囲気の女性ということか。

空間を広くとって、そのなかに余裕をもって人物を配している。人物は、左側に寄せて、右側に広い空間を作っている。もし二曲一双に仕立てるなら、これを左隻にして、右隻には、左側に広い空間をとることになるだろう。

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これは人物の部分を拡大したもの。赤い縞の小袖を着た女が、キセルをもった手を煙草盆のほうへ差し伸べている。この赤い縞模様を含め、全体として暖色優位にまとめており。初冬といいながら、いくばくかの暖かさを感じさせる。

なお、この女性の髪はつぶし島田といって、粋筋の女であることをあらわしている。モデルは、当時日本橋で売れっ子だった小菊という芸者だと言われている。

(1935年 絹本着色 二曲一隻 135.0×136.5㎝)






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