コロナがあぶり出す地球内格差

| コメント(0)
コロナ・ウィルスは多くの人々に様々な形の打撃を与えているが、弱い立場の人ほどその打撃は大きい。真っ先に解雇されるのは非正規雇用の人だし、医療資源へのアクセスも貧乏人ほど限られている。これはある意味、仕方のないことで、金のない人びとは真っ先にコロナの打撃を食らうのである。

以上は、特定の国家の中での格差だが、国家間にも似たような格差は生じる。これを地球内格差という。地球内では貧しい国家ほどコロナの打撃は大きいのである。その代表格といえるのがアフリカ諸国だ。アフリカ諸国では、欧米諸国に遅れる形でコロナが蔓延し出した。南アメリカなども同じような状況だ。これらの諸国では、二つの問題に直面している。もともと貧しいところにあって、コロナを理由に経済活動を縮減させることが、国民生活に及ぼす破壊的影響。もう一つは、医療資源をコロナに集中させることでもたらされる在来型の感染症の拡大だ。

特に後者の問題は深刻なようだ。先日NHKが放送していたところによれば、アフリカでは医療資源をコロナに集中することで、マラリアなどの在来型の感染症への取り組みが疎かにされ、それらの感染症で死ぬ人が劇的に増加しているらしい。もともと乏しかった医療資源が、コロナ対策に優先的に割り当てられることから、そのような事態が生じるというわけである。

欧米先進諸国は、アフリカなどの後進国に対しても、コロナ対策を最優先するように求めている。コロナは共通する脅威であり、後進国で蔓延すれば先進国もその影響を蒙るからである。一方、マラリアなどの在来型感染症は、後進国内部でとどまり、先進国が影響を受ける可能性はほとんどない。そういうわけだから、先進国は後進国に対して、在来型の感染症対策を後回しにして、コロナに注力するよう求める。これは身勝手な考えというべきだが、その身勝手さが、人間の本質だとしたら、あまり多くを語る意味はないのかもしれない。





コメントする

アーカイブ