安倍晋三総理はヴラヂーミル・プーチン大統領を見倣うべきか?

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ロシアの憲法が、国民投票を経て改正された。ヴラヂーミル・プーチン大統領の仕込んだ改正だという印象があまりに露骨なので、これをプーチンの憲法改正と呼ぶ向きが、ロシア国内を含めて、強く指摘されている。実際この改正によって、プーチンは2036年まで大統領の座にとどまれる可能性が高まったし、その他の点でも、執行権力の強化が図られたようだ。というのも小生は、まだ改正憲法全文をつぶさに読んでいないので、いずれ詳しく読んだうえで、小生なりの批評をまとめてみたいと思っている。

2036年には、プーチンは84歳になっている。かれがエリツィンの意向を受けてロシアの大統領職についたのは2000年のことだから(1999年には大統領代行についている)、それ以来(メドヴェージェフ時代を含めて)実質36年間ロシアの専制君主として君臨することになる。プーチンをエスコートとしたエリツィンもこの事態は予想していなかったのではないか。エリツィンがプーチンをエスコートしたワケは、自分の引退後に安全に余生を送らせてくれることを宛込んだからだと言われているが、プーチンはエリツィンの余生ばかりか、ロシアの未来も自分の自由にしているわけだ。

こんなに簡単に憲法改正を行い、自分の権力基盤を強化したプーチンを、世界の独裁者たちは、自分の手本を見るような気持ちで仰ぎ見ているのではないか。憲法改正は、日本の安倍晋三総理も執念を燃やしてきた課題だが、いまだにその見込みすらたっていない。どう改憲するのかさえ、コンセンサスができていないざまだ。だからといって、安倍晋三総理がプーチンを見倣うべきだとは、多くの日本人は思わないだろう。たとえそう思ったにしても、そのように事が運ぶものでもないだろう。

プーチンの権力の源泉は、秘密警察の人脈を生かした支配権力の把握であり、また経済界を実質的に牛耳っていることにある。プーチンはかならずしもポピュリストではないが、ロシア人の愛国心に訴えることはうまい。今回の憲法改正でも、領土は決して手放さないという条項を入れて、ロシア人の愛国心を満足させた。これはとりあえずクリミアのことを念頭に置いたものと思われるが、わが日本が抱える北方領土問題にも影響すると思われる。日本の安倍晋三総理は、これまでの外交の基本方針をひっくり返してまでプーチンに譲歩してきたが、今後そういうみっともないマネはやめた方がよい。武力で失ったものは、平和的に取り戻すことはできない、というのが世界史の鉄則だ。日本としては、北方領土問題を永遠の課題として、ロシアと向かい続けていくほかはない。そのように日本人の覚悟を固めさせたところに、プーチンの意図せざる効果があったものと考えるべきだ。





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