スペイン料理を喰いながら戦略を練る

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この秋の十月に、先年ロシア旅行をともにした仲間とポルトガル、スペイン方面へ旅行する計画だったが、コロナ騒ぎで、どうしたものかと思案する折合、期限も近づいたこととて、この際どうしたらよいか、戦略的な決定を迫られる段取りとなった。そこで我々は、東京のさるレストランに集り、戦略会議を催した次第だった。我々の世代は、重大な決定をする際には対面で話し合うという癖がついているので、いま流行のリモート会議ですますわけにはいかなかったのである。

こんなことを言うと、自粛警察の連中から吊し上げを食らうかもしれないが、そんなことにひるんではいられない。なすべき重大事が待っている時には、多少のリスクをとることは避けられない。第一、自粛一点張りでは、世の中がおかしくなってしまう。政府は自粛と口先でいうばかりで、実のある方針を示そうとしない。政府のリーダーシップではなく、国民の自主的な協力に期待しようとするから、自粛警察の連中もやたら張り切るのだと思う。

集まったのは、東京駅八重洲口近くのスペイン料理店。スペイン料理を喰いながら、スペイン旅行実施の是非を戦略的見地から検討しようというわけだ。選択肢は三つある。第一は計画通り実施、第二は中止、第三は延期である。中止の場合には、一定程度のキャンセル料をとられる。

この条件で検討したところ、第一の選択肢である計画通りの実施はないだろうということになった。十月までに騒ぎが収束する見込みは非常に少ないし、仮に出国できたとしても、帰国できる保証があるとはいえない。

そこで中止か延期かということになったが、浦、岩の両子は延期すべしといい、石子は中止すべしという。小生はどちらでもよかったが、多数派に肩入れして、結局延期すべしということになった。航空会社では、無料でスケジュールの延期に応じてくれるというのが決め手になった。

戦略的決定が下ろされるや、あとはワインを飲みながらスペイン料理を食う段取りとなった。この店のスペイン料理は、味も量も料金も申し分なかった。そのため、コロナ騒ぎのさなかにかかわらず、結構客が入っている。それでも、座席の間に一定の距離をもうけるなど、それなりの感染対策はなされている。その分われわれも安心できたというわけだ。

ただ一つ不満が残ったのは、大好物のスペインオムレツをやっていないと言われたことだ。小生が残念な表情をしていると、浦子が同情して、おれがお前たちを別荘に招いて、スペインオムレツを作って食わせてやるよと約束してくれた。いずれかれの別荘へ、スペインオムレツを食いに行きたいと思う。

この店を出た後は、一本向こうの筋の通りに出て、さるショットバーに入った。若いウェイトレスがなかなか愛嬌があって、自分の娘に欲しいと思ったほどだ。この店は先程の店ほど客が入っていなかったが、それでもまだましなほうで、一時期は毎晩客の姿がなかったそうだ。そのため経営危機に陥り、七月末で廃業する予定だという。コロナ騒ぎは不義理なことをするものだ。





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