キリストの鞭打ち:カラヴァッジオの世界

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「キリストの鞭打ち」もナポリ滞在中の作品。サン・ドメニコ・マジョーレ聖堂の祭壇画として描かれた。福音書の中のキリストが鞭うたれる光景をモチーフにしている。この絵の中のキリストは、筋骨隆々とした姿で描かれており、罪人としての弱々しさは感じさせない。だが、周囲の男たちは邪悪な表情をしており、画面全体には暴力的な雰囲気がただよっている。

この絵をカラヴァッジオは、自分自身が体験した拷問をもとに描いたとする説があるが、どこでどんな拷問を受けたのか、くわしいことはわからない。ローマで裁判に先だって拷問されたという説もあれば、カラヴァッジオは事件後速やかにローマを逃れたので、拷問される時間はなかったはずだという反論もある。

この作品は近年まで聖堂を飾っていたが、いまはカポディモンテ美術館に移されている。

(1607年 カンバスに油彩 286×213㎝ ナポリ、カポディモンテ美術館)






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