トビトとアンナ:レンブラント

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レンブラントは、18歳の時にアムステルダムのピーテル・ラストマンに師事して、自分なりの画風を確立すると、19歳の時にはライデンにもどり、画家として独り立ちした。それ以来、25歳でアムステルダムに移住するまで、ライデンを拠点に活動した。その頃すでにレンブラントは、新進画家として世間の注目を集めるようになった。

上の絵「トビトとアンナ」は、ライデン時代の代表作の一つで、若干20歳の時の作品である。この絵を見ると、レンブラントはラストマンからならった明暗対比の強い画風をベースに、ファン・アイクはじめフランドル派の画風を取り入れた写実的な画風を確立していることがわかる。レンブラントは、カラヴァッジオの作品をじかに見たことはなかったが、師のラストマンを通じて、カラヴァッジオの画風を受け継いだともいえる。

モチーフのトビトとアンナは、旧約聖書の「トビト記」に取材した。トビトは燕の糞が目に入って失明し、働けなくなった。そのため妻のアンナが働きに出て、ある日ヤギを抱えて帰ってきた。そのヤギの鳴き声を聞いたトビトは、盗んで来たのではないかと妻に問いただすと、妻は賃金とは別に贈り物に戴いたものですと答えたが、トビトは信じようとしない。そんなトビトに怒ったアンナが激しくトビトを責めると、トビトは途方にくれる、というような話だ。

絵には、感情をあらわにしたアンナと、途方にくれた表情のトビトが描かれている。アンナは怒りのあまり目が座っており、トビトは皺だらけの両手を胸の前で結び、どうしたらよいか途方にくれている。

左上の窓を光源として、それを受けたかたちで明暗のコントラストが強調して表現されている。

(1626年 板に油彩 39.5×30㎝ アムステルダム国立美術館)






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