ヨハン・デエイマン博士の解剖学講義:レンブラント

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レンブラントが「トゥルプ博士の解剖学講義」を手掛けたのは1632年のことだが、それから24年後の1656年に、同じようなテーマで追加注文を受けた。注文主は、トゥルプ博士の後任デエイマン博士だった。博士は、同年中に強盗罪で死刑になったヨーリス・ファン・ディーストの死体解剖を行ったのだが、その折の様子を、集団肖像画として描いて欲しいと依頼してきたのである。

この絵は、完成後に、やはり外科医組合の本部に飾られたのだが、不運なことに、1723年に発生した火災で、全体の五分の四が消失してしまった。これは残存した部分である。幸か不幸か、絵の中核部分である、博士と死体の部分が残されている。

死体の描き方には、マンテーニャの作品「死せるキリスト」が参考にされているとの指摘がある。レンブラントがその複製版画をもっていたことがわかっているので、おそらくそれを参考にしたのだろう。尤も、そのまま模写したわけではなく、細部にはかなりの異同が見られる。繰り抜かれた腹の内部が見えるように、死体をやや持ち上げ加減にしたところなどだ。

(1656年 カンバスに油彩 100×134㎝ アムステルダム、国立美術館)






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