卵を料理する老女と少年:ベラスケスの世界

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ベラスケスは1617年3月に、パチェーコのもとでの6年間の修行を終えて独り立ちし、画家組合にも登録されて、画家としてのキャリアを始めた。19歳の年である。以後1623年10月に、国王フェリペ四世の宮廷画家に抜擢されるまでの6年間を、セビーリャを拠点にして活動した。

セビーリャ時代のベラスケスの作品としては、ボデゴンと称されるタイプのものが多い。ボデゴンとは酒蔵を意味する「ボデーガ」に由来する言葉で、台所や飲食店をイメージしていた。そのイメージとおりに、厨房を舞台にした風俗画をボデゴンと呼んだのである。当時のスペインでは、このボデゴンが流行っており、ベラスケスも流行に乗ったかたちでボデゴンを制作したのであろう(9点のボデゴン作品が現存している)。

「卵を料理する老女と少年」と題するこの絵は、1618年の制作。今日に残るベラスケスの作品のうち、もっとも古いものである。台所と思しき部屋で、老女が鍋で卵を料理しており、それを少年が見つめている。料理の出来上がるのを、待っているのであろう。食器らしいものを左手に持っている。

構図としては非常に単純だ。方向性を感じさせる照明法や、強烈な明暗対比は、カラヴァッジオの影響を思わせる。当時のスペインでは、カラヴァッジオの影響が強く見られた。

(1818年 カンバスに油彩 99×128㎝ エディンバラ、国立スコットランド美術館)






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