バイデンのジェノサイド認定

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米大統領バイデンが、100年以上前に起きたトルコによるアルメニア人の迫害をジェノサイド認定した。その前には、中国政府によるウィグル人迫害をジェノサイド認定している。理由は、国連の定めたジェノサイドの定義にこれらの迫害が該当しているというものである。国連によるジェノサイドの定義は次のようなものだ。

「ジェノサイドとは「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を集団それ自体として破壊する意図をもって行われる次のいずれかの行為
(a) 集団構成員を殺すこと。
(b) 集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること。
(c) 全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること。
(d) 集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること。
(e) 集団の児童を他の集団に強制的に移すこと」

アルメニアの例は(a)に該当し、ウィグル族の例は(b)及び(c)に該当するというのであろう。もしそれが事実なら、バイデンのジェノサイド認定には相応の根拠があるということになる。バイデンがその根拠を強調し、中国政府やトルコ政府を非難することには違和感はないが、もしバイデンが正義の味方を演じたいのであれば、ほかにもっと非難すべきジェノサイドがあるだろう。広島・長崎の無辜の民数十万人を無差別に殺害したトルーマンの原爆投下である。

これが国連のジェノサイドの定義に当てはまることは、明々白々である。バイデンが、他国によって行われたジェノサイドを非難するのであれば、かれはその前に、自国が起こしたジェノサイドを謙虚に反省すべきである。アメリカの歴代政府は、広島・長崎への原爆投下は、戦争を遂行する上で不可欠の決断だったと言っているが、それは手前ミソの理屈と言うべきである。そういう理屈が通るなら、中国やトルコの政府を非難するいわれはないことになる。

トルーマンは、バイデンにとって民主党の先輩でもある。トルーマンは戦争遂行上原爆投下が不必要なことがわかっていながら決行した。それにはマニアックな趣味を感じさせるものがある。トルーマンはKKKの信奉者だったことからわかるとおり、人種差別主義者だった。だから黄色人種の日本人を人間と思っていなかったフシがある。でなければ、こんなに残虐なことを平気でできるわけがない。

バイデンはまず、自国の指導者が行ったジェノサイドを深く反省したうえで、他国のジェノサイドについて批判すべきである。





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