
「火刑台の上のオリンデとソフロニア(Olinde et Sophronie sur le bucher)」と題したこの絵は、ルネサンス期イタリアの詩人タッソーの長編詩「解放されたエルサレム」に取材した作品。この長編詩は、十字軍をテーマにしており、同じテーマを扱ったアリオストの長編詩「狂乱のオルランド」とともに、非常に人気を博したという。
絵の構図は、第二歌の中の場面からとっている。エルサレムでは、キリスト教徒の娘ソフロニアが、恋人オリンデとともに無実の罪で火刑に処せられることとなった。そこへイスラム教徒の女戦士クロリンダが現われ、処刑の非を説き、止めさせようとする。
絵は、いままさに火あぶりにされようとするソフロニアとオリンデを描き、その場に馬に乗って現われた女戦士クロリンダを描いている。クロリンダは実に威風堂々と描かれ、周囲の人間たちはその勢いに圧倒されている。
暖色を多用した豊麗な色彩感と、ダイナミックな感覚が特徴である。
(1856年 カンバスに油彩 101.2×82.1cm ミュンヘン、ノイエ・ピナコテーク)
コメントする