獅子虎図:曽我蕭白の世界

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曽我蕭白には、双幅の唐獅子図があるが、この「獅子虎図」は唐獅子に虎を組み合わせたもの。唐獅子は口を開いた阿行の姿、虎の方はなにやら情けない表情をしている。「唐獅子図」の獅子達はどちらも情けない表情をしていたが、これは虎が一身にそれを体現している。

上の絵は、右隻の唐獅子。なにかに寄りかかりながら、背後に視線を送っているが、その表情には恐怖のようなものが伺える。虎を恐れているのだろうか。これでは神社仏閣を守護することはできまい。蕭白の権威への嘲笑をよく発揮した作品といえよう。

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これは左隻、虎の図柄。虎が向ける視線の先には唐獅子がいるのだろうが、虎の表情からは強そうな雰囲気は伝わってこない。かえって情けなさを感じさせる。その情けない表情で唐獅子を見やっているのはどういうわけか。恐れられて恐縮しているのか。

龍虎の組み合わせは好んで取り上げられたが、獅子虎の組み合わせはあまり多くはないようだ。

(製作年不明 紙本墨画 二曲一双 各154.3×156.6cm 千葉市美術館)





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