
土佐又平とは、徳川時代初期の大和絵画師岩佐又兵衛のこと。岩佐又兵衛はかならずしも土佐派に分類されないが、土佐派は徳川時代初期の大和絵を代表していたので、そのように呼ばれたのかもしれない。
富岡鉄斎は、その岩佐又兵衛に強い影響を受けた。とくに奇抜な人物表現である。奇抜な人物表現ということでは、大津絵が知られており、鉄斎自身も大津絵に影響されたことを認めている。しかし大津絵と又兵衛との関係は確認されない。
この作品は、岩佐又兵衛の筆法にならったという。賛には、その旨のことが記されている。いわく、「土佐又平は自分の人物画の師である」と。
武将を先頭にして、さまざまな人物が行進するさまが描かれている。いわゆるギョロ目が特徴であるが、体の輪郭も漫画チックな描き方だ。
(1912年 絹本着色 138.0×51.2cm 宝塚市、清荒神清澄寺)
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