碧桃寿鳥図:富岡鉄斎の世界

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「碧桃寿鳥図」と題するこの作品も、西王母の桃の話をモチーフにしている。漢の武帝が搖池苑に西王母を迎えて宴を催したところ、王母は七つの桃をみやげに持参し、そのうち四つを武帝に贈り、残りの三つを自分で食べた。武帝が種を植えようとすると、三千年に一度しか実を結ばないので、短命の武帝にとっては無駄なことだと諭した。

絵は、たわわになった七つの桃の実を描き、枝には鮮やかな色の鳥を添えているが、この鳥は西王母の使者とされる。なおこの桃の木は崑崙山に植えられたものだという。

賛には、上述のような内容のことが書かれている。「東方朔捧桃図」の賛には、桃の実を盗んだと言ったのは小人だとされたが、この賛では西王母自身が言ったとしている。

この作品は、鉄斎のパトロン飯田氏の長寿を祝って贈ったものである。

(1916年 絹本着色 168.0×72.1cm) 





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