ウェディング・バンケット:李安

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李安が1993年に台湾・アメリカ合作映画として作った「ウェディング・バンケット(The wedding banquet)」は、アメリカを舞台にした台湾人とアメリカ人とのホモ・セクシャルをテーマにした作品。それに台湾人の親子関係をからませている。テーマは深刻だが、描き方はコメディタッチである。

台湾人のウェイトンは、アメリカで不動産業を経営しながら、アメリカ人青年サイモンとゲイ・カップルの関係にある。台湾に住んでいる両親は、なんとか息子に嫁を持たせようとして、その候補者を送り込んだりする。そのうち、息子に会いたいと言い出したので、息子はおおいに動揺する。サイモンとの関係を知られたくないのだ。決して理解してもらえないだろうと思う。

そこで所有アパートに入居している女ウェイウェイと偽装結婚をして両親を安心させようとする。そういう設定で、親子とゲイ・カップルそして係わり合いになった女との間で、ドタバた喜劇が繰り広げられるという次第である。

バカにされたと思ったウェイウェイが、ウェイトンを強姦したことで事態は急展開する。強姦したウェイウェイが妊娠するのである。とりあえず堕胎しようということになったが、土壇場でウェイウェイが拒否する。生んで自分で育てるというのだ。困ったウェイトンはサイモンと相談して、ウェイウェイの生んだ子を自分たちの子として育てる決意をする。その流れが短い時間の中で展開される。両親はアメリカに二週間滞在するという設定なのだが、その間に、偽装結婚の披露宴とか、ウェイウェイの妊娠とか、養子縁組の決意とか、ある程度の時間を要するはずの事態が進行していく。そこは不自然なのだが、コメディ映画のことだから大目に見てもらいたい、というようなメッセージが読み取れる映画である。





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