草花図巻:尾形光琳

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光琳は宝永元年(1704)に江戸へ出てくると、芸術上の庇護者を求めて方々の大名へ接近する。そして彼らのために様々な作品を制作するのであるが、「草花図巻」と題するこの図巻は津軽家のために描いたもの。軸心から「宝永二乙酉六月三日」という日付が出て来たから、江戸へ移住してまもない頃の作品と考えられる。

この図巻は四季それぞれに咲く花々を季節に応じて描いたもので、牡丹、桜草、立葵、燕子花、芥子、芙蓉、あざみ、萩、菊、水仙などが描かれている。この図柄はそのうちの燕子花と朝顔の部分である。季節としては初夏にあたる。

水をたっぷりと含ませた墨で淡く描いたうえで、淡彩を重ねている。技法的にはたらしこみの手法が効果的に使われており、宗達の影響が伺われる。

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これはあじさいの部分を拡大したもの。葉の部分にたらしこみが指摘できる。

(紙本墨画淡彩 縦36㎝ 横131.1㎝ 津軽家伝来)






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