死に方を選ぶ:人生百年時代

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昨夜(2018年11月18日)放送のNHKスペシャルが、「人生100年時代を生きる」と題して、死に方の選択について考えさせる番組を流していた。それを見た筆者は、一方では自分のこととして受け止めるとともに、他方では、いつまでも人に迷惑をかけているよりも、すみやかに死んだ方がいいですよと、他人からせかされているようにも感じた。

高齢化の急速な進行は、長生きする老人を大量に排出し、いまでは100歳以上の老人が珍しくなくなった。つい最近まで、100歳以上の老人は百人単位であったものが、今では数万人に増え、近い将来には最大53万人にもなるという。長命を支えているのは医療の進歩だが、その医療によって延命治療が可能になり、意識のないままに、ただ生き続けている、植物人間のような人たちが増えているそうだ。

番組では、そうした人たちの家族にとっての負担であるとか、あるいは延命を施されている人自身にとってそれが望ましいことなのかと言う疑問をつきつけながら、そうしてまで生き続けることが果たして好ましいのか、問題提起をしていた。

延命治療を受けることの是非について、できれば本人が、意識のはっきりしているうちに表明していることが望ましい。そうすれば、本人が意識不明の状態に陥った時、家族は迷わず、延命治療の是非について決断することができる。本人が明確な意思を表明していなかった場合でも、家族がそれを望んだ場合には、延命治療を打ち切ることは、一定の条件では許されるようになっているので、家族の責任で延命治療を打ち切ることは可能だが、その場合には、家族の心理的負担が大きすぎる。やはり、本人が意思表示をしておくことが望ましい。

こんな問題意識から、番組では、医師が患者に向かって、もしもの場合に延命治療を望むかどうかあらかじめ確かめておく試みを紹介して、そうした試みの広がることを推奨しているようにも見えた。

こんな場面を見せられると、高齢化社会に生きる老人たちは、自分の最後についても責任をもって行動すべきだというメッセージが強く伝わって来る。自分の最後に責任をもてということには、筆者も異存はないが、それが、他人に迷惑にならないように、すみやかに死ぬべきだという主張を含んでいるのならば、違和感を覚えないわけにはいかない。

この番組を見た人たちの多くは、筆者と同じ感想を抱いたのではないか。いまの政権には、役立たずの年寄りは早く死ぬべきだと公言する人が幹部をつとめている。そうした人が幹部を務める政権に対してNHKが忖度し、こんな番組を作ったのか。そう勘繰りたくもなる。





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