四季草花図屏風:渡辺始興

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渡辺始興は、晩年の尾形光琳に師事し、そこから琳派的なものを学んだが、もともとは狩野派から出発し、やまと絵の素養もあった。そんな背景から、彼の絵には狩野派、やまと絵、琳派が混在し、それらがバラバラに共存しているという印象を与えるのだが、逸品と称される作品は琳派様式のものが多い。

これは「四季草花図屏風」。光琳の草花図の特徴を受け継ぎ、淡彩タッチで様式的な意匠性を強く感じさせる。ぼかしの技法も光琳から学んだものだ。光琳の場合には水墨にぼかしをほどこしたが、始興は岩絵の具にぼかしをほどこし、独特の感触を楽しんでいる。

この絵から伺われるような装飾性は、当時の人々の嗜好に応じたと見え、以後琳派と言えば、このようなタイプの絵がもっとも好まれるようになった。

(紙本着色 六曲一双 各124.2×265.7㎝ 畠山記念館)






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