朝顔図屏風:鈴木其一

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鈴木其一は若くして酒井抱一の弟子となり、兄弟子で抱一の家扶であった鈴木蠣潭の養子となったことで、酒井家の士分に列した。抱一の付け人として常に身辺に在り、抱一の制作のほう助をした。そんなことから鈴木其一は、抱一の画風を誰よりもよく受け継いだと言ってよい。

抱一の画風は瀟洒な装飾性を特徴とするが、其一も又そうした画風を得意とした。彼の画風は、後のいわゆる日本画に多大な影響を与えたとされる。いわば近代日本画の開拓者ともいえる存在である。

「朝顔図屏風」は、鈴木其一の代表作。一見してわかるとおり、装飾的な図案が日本画の雰囲気を先取りしている。左右両隻を比較してみると、そこには対称性への強い志向が見られ、全体として様式的な美に拘っていることがうかがわれる。

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これは、右隻の部分。金地を背景にして、緑と藍だけでまとめた色彩が、さわやかな雰囲気を演出している。夏にはふさわしい図柄と言えよう。

(紙本金地着色 六曲一双 各178.2×379.8cm ニューヨーク、メトロポリタン美術館)







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