有罪とは断定できないが無実ともいえない:マラーのトランプ疑惑報告

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トランプのいわゆるロシアゲート疑惑を調査してきたマラー特別検察官が、二年近い調査にくぎりをつけて、司法省のボスであるバーに報告書を提出した。その報告書に基づいてバーが手短なレジュメを用意し、それを議会の司法委員会始め各方面に発表した。その概要を簡単に言えば、有罪とは断定できないが無実とも言えないというものだった。要するに灰色ということだ。

発表の要旨は二つの点にかかわる。一つはトランプとロシアとの間に共謀があったかというもので、これについては、ロシアによる米大統領選への不当な介入の事実を認定しながらも、ロシアとトランプが共謀したという証拠は見つからなかったと結論付けた。二つ目は、トランプによる不法な司法介入があったかどうかというものだが、これについては、トランプによる数々の疑惑が公然と語られるなかで、司法妨害の罪を成立させるだけの証拠が不十分だったとした。

この報告に接して一番喜んだのがトランプだったのは当然で、かれはこれで自分の嫌疑は完全に晴らされたと胸を張って、例の通りツイートして見せた。不可解なのはロシアの反応で、これはトランプ以上に喜んでいる様子である。上院議員であるコンスタンチン・カサーチェフは、ロシアの良識を代表する形で、マラーの報告が我々とトランプとの間の不法な共謀という嫌疑を晴らしてくれたと感謝した。もっとも彼は、報告の二点目であるトランプの司法妨害疑惑とか、自分たちが行ったアメリカへの選挙介入には全く触れてはいない。

肝心なのは、この当面の報告がマラーではなく、バーによって行われたことだ。バーはマラーから膨大な報告書を受け取るや否や、すぐさま上述のレジュメを作り、タイミングよく発表した。まるで読まないでもわかっているといったそのやり方に、民主党が多数を占める議会下院は納得していない。これから報告書の全面開示要求を始め、トランプへの追及を強める姿勢をとっている。まだまだ一件落着とはいかないようだ。





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