百鬼夜行絵巻5:鍋、釜の妖怪

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前の部分で出て来た唐櫃から逃げ出した妖怪たち。右端は、狼と黒犬の妖怪。その前を行くのは五徳の妖怪である。五徳とは、火鉢の真ん中に、熾火の上にかぶせるように置かれたもので、これに鍋や薬缶をかけて湯を沸かしたり、簡単な料理を作ったりした。昭和時代の中頃までは見慣れた道具だったが、いまはほとんど見ることがなくなった。この五徳は、火をおこすための筒をくわえている。仕事熱心な五徳というべきである。

五徳の隣にいるのは、空穂の妖怪。空穂とは矢を収める筒状のもので、腰につけて用いた。ここから一本ずつ矢を取り出しては、弓にあててはなった。この空穂は、右手で二本の矢を持っている。窪田空穂という名の歌人もいた。

その前を行くのは、鍋の妖怪。天秤棒を担いで、それにすりこ木やらしゃもじやらを括り付けている。鍋の頭というか、裏底からは、湯気があがっている。働いていたのだろう。

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右端は、白布を被った鳥の妖怪。手に鈴のようなものを持っている。その前は、釜の妖怪。この妖怪の胴体は、タヌキのようである。ぶんぶく茶釜を思わせる。

釜の前を行くのは、雑多な種類の妖怪たち。鉦を頭にのせた赤鬼、その前は、おわん型の鎮子のようなものの妖怪、その隣には、経巻を何本か重ねて頭に乗せた妖怪がいる。

その他は、どうもよくわからないものばかりだ。左端の下に見えるのは、狐のようにも見える。それが幣をつけた旗竿を振りかざしている。






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