ウクライナゲートは何故弾劾に値するか

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トランプがウクライナの大統領ゼレンスキーに対して、最大の政敵であるバイデンを標的にして、自分の再選に都合のよいように、バイデンを犯罪者に仕立て上げるべく捜査介入をするよう圧力をかけた、いわゆるウクライナゲート事件が、下院による弾劾調査手続きの開始に発展した。トランプはこれまでにもさまざまな疑惑に包まれてきたにかかわらず、ことごとく乗り切って来た。それが今回はいよいよ弾劾の手続きに直面する可能性が高くなったわけだ。ことの影響度からいえば、ロシアゲートのほうが上回っていると思われるのだが、そのロシアゲートがうやむやになって、ウクライナゲートが脚光を浴びることには、なにか理由があるのか。一外国人である小生には、いまひとつわからないことが多い。

事情通がいうには、ロシアゲートの場合には、トランプが直接かかわったという物証がない。状況証拠からすればトランプは限りなく黒に近い灰色だが、灰色では起訴とか弾劾はできない。ところが今回は、トランプがゼレンスキーに直接電話をかけ、その対話のなかで、自分の選挙に都合のよいように捜査介入するよう圧力をかけたという物証がある。したがって、十分弾劾手続きに堪えるということのようだ。

弾劾の理由は、いろいろあるようだが、今のところ伝わってくるのは、大統領権限の濫用が中心になるらしい。自分の私的な利益のために、大統領権限を濫用するのは、十分弾劾に値するというのだ。また、ウクライナをめぐっては、アメリカはこれまで政治的に微妙な問題を抱えていて、対ロシアとの関係で、これを後押ししたり、しなかったりと、複雑な対応をしてきた。そういう微妙な問題についてトランプは、もし自分のいうとおりにすれば、ウクライナのために利益をはかってやろうというようなことを言ったらしい。これは非常に悪質な行為で、場合によっては反逆罪に問われるべき筋合いのものだ、ともいわれる。

あのニクソンは弾劾に直面して辞任したが、トランプは強気で通すだろう。トランプには、ニクソンさえもっていた羞恥心とか良心といったものは見当たらないようなので、あくまでも反撃するつもりでいるだろう。トランプとしては、問題をあまり大袈裟にせずに、極力矮小化して、泥仕合に持ちこめば勝てると踏んでいるにちがいない。つまり、トランプによる祖国への反逆といった構図にもちこませず、民主党が共和党に仕掛けたダーティな喧嘩というふうに、世論に印象付けようとするだろう。いずれにしても、今後の成り行きが注目される。





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