ペンスはトランプよりましな大統領になるか?

トランプ弾劾に向けての米議会下院での調査が進行しているが、つい最近まで、下院による弾劾は成立しても、上院での弾劾裁判でトランプが大統領を罷免されることはありえないというのが、大方の観測だった。ところが、この二・三日の間に情勢が急転し、もしかしたらトランプ罷免はありうるかも、という憶測が公然と語られるようになった。

潮目が変ったのは、トランプが長い間の同盟者であったクルド人を見捨てたことだ。これにGOPの多くの上院議員が強い憤りを感じた。同盟国を裏切るというのは、やってはいけないことだ、なぜならそれはアメリカという国の、信用の根幹にかかわることだからだ。そのことをトランプはわかっていない、そう多くのGOPの上院議員が思い始めているらしいのである。いまの勢力図を前提にすれば、上院のGOP議員が20名弾劾賛成に回れば、トランプの罷免は実現する。その実現性は、かなりな可能性をもってとりざたされており、すでにトランプの罷免を前提に、ペンス大統領を分析してみせる論調も出回っているありさまだ。

もしかしたら、トランプの罷免は実現するのかもしれない。政治の世界というのは、一寸先は闇だというが、トランプはそのことを身に染みて感じているかもしれない。もっともトランプのことだから、そんなことは一切お構いないのかもしれぬが。

ともあれ、もしペンスが大統領になったら、アメリカと世界はどう変わるか、それが早くも関心の的になっている。ペンスは、トランプと違って政治経験も豊かだし、いわゆる共和党のエスタブリッシュメントともつながりがある。だから、トランプよりもはるかに安定した政治運営をするだろう。アメリカのエスタブリッシュメントは、トランプの素人考えにうんざりさせられており、ペンスが大統領になれば、いまよりずっとましになるだろうと思っているらしいから、アメリカには再びエスタブリッシュメントを中心とした安定的な政治が回復されるだろうと見る者が多い。

ところで、そのペンスであるが。どのような政治理念をもっているか、そこが気がかりだ。ペンスを分析したいくつかの記事から推測するに、もともとはカトリックで、ケネディの信奉者だったが、途中で福音主義に転向し、またティーパーティ運動にも共鳴しているということらしい。そんなところから、Teavangelist(ティーパーティと福音主義のカクテル)だとか、マヌーバリストといったニックネームを頂戴しているようである。そのようなペンスが、トランプよりましな大統領になるかどうかは、いまのところ未知数といったところのようだ。






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