トランプのユダヤ贔屓が反ユダヤ主義を煽る?

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先日トランプの発した大統領令が物議をかもしている。これはユダヤ人を人種に基づいて定義したもので、人種としてのユダヤ人の保護を目的としたものだと説明されているが、それについてほかならぬユダヤ人コミュニティが強く反発しているのだという。その理由は、この大統領令が、かえって反ユダヤ主義(Anti-Semitism)を煽るというのだ。なぜそうなるのか、小生にはわからぬことが多い。

トランプのユダヤ贔屓はよく知られている。その背景には、娘婿がユダヤ人であり、娘もユダヤ教に改宗したという事情があるようだ。今回のこの大統領令も、かれらに影響されてのことと言われている。かれらの目的は、アメリカ国内で高まっているイスラエル批判を抑えたいということらしい。これまでイスラエル批判は、アメリカ政府の介入することではなかった。ところが今回の大統領令によって、民族としてのユダヤ人が保護の対象となることで、そのユダヤ人の国家であるイスラエルを批判することに、アメリカ政府が介入できることになったのだという。そのへんの事情が小生にはちょっとわかりにくいのだが、要するにこの大統領令がトランプのユダヤ贔屓の産物だということは伝わって来る。

アメリカのユダヤ人コミュニティがこの大統領令に反発するのは、どういう事情からか。アメリカのユダヤ人たちは、イスラエルのユダヤ人たちと同じように見られている。だからイスラエルの(ユダヤ人)政府がパレスチナ人に対して悪逆非道なことをすると、アメリカのユダヤ人も非難の対象となることがあった。しかしこれまでは、アメリカのユダヤ人たちの多くは、イスラエルのユダヤ人とアメリカのユダヤ人は違うのだ。なぜならユダヤ人とは宗教をもとにした概念であり、国籍とはかならずしも関係がないからだ、といって、そうした非難をかわしてきた。ところがユダヤ人とは宗教によってではなく、民族によって定義されるということになると、アメリカのユダヤ人もイスラエルのユダヤ人も同じユダヤ人だということになって、アメリカのユダヤ人はイスラエルのユダヤ人に連帯責任を負うことになってしまう。それはアメリカのユダヤ人の多くが望むことではない、ということらしい。

アメリカ政府としては、折角ユダヤ人のためを思って決めたことを、当のユダヤ人が反対するのはけしからんと息巻いているそうだが、どちらの言い分に理があるのか、事情に精通しているわけではない小生には、わからぬことだらけだ。

(参考) Trump is 'weaponizing' anti-Semitism with latest executive order, Rabbi says By David Brennan:Newsweek





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