夏冬山水図(冬):雪村の世界

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「夏冬山水図」のうち冬図は、雪山と川と月をモチーフにしている。画面奥に切り立った雪山があり、月はその背後から上っているところ。ちょうど満月だ。この月があるために、画面に独特の趣が出ている。

画面左手の山道を、二人の人物が離れて歩き、また川辺には一人の男が仕事をしているが、歩いている二人は農夫、一人は漁夫と解釈されている。二人が山道を急いでいるように見えるのは、家路をめざしているからか。満月とはいえ、山道の足元は悪かろう。しかも雪が積もってもいる。

雪山の白は、胡粉ではなく、白抜きの手法による。白抜きした部分に濃淡の墨を重ねることで、遠近感を出している。

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これは画面下部を拡大したもの。川は明確な線ではなく、ぼかしによって表現されている。その岸辺で何やら仕事らしいことをしている人は、漁夫であろう。一仕事終えて船から上がったところか。

(掛幅 紙本墨画淡彩 102.0×40.5㎝ 京都国立博物館 重文)






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