ラスト・タンゴ・イン・パリ:ベルナルド・ベルトルッチ

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ベルナルド・ベルトルッチの1972年の映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」は、日本でも大きな話題になった。過激な性描写もさることながら、マーロン・ブランド演じる不気味な中年男が、若い女を相手に鶏姦するシーンが衝撃的だったのだ。日本では鶏姦は男性同士の行為であって、女が対象となることはないと受け取られていた。だからこそ熊楠先生は、「婦女を姣童に代用せしこと」という小論の中で、女の後門を責めることの異常さを指摘したのだった。

この映画の中のマーロン・ブランドは、どういうわけかまだ二十歳の若い女性を相手にゆきずりのセックスを楽しむ。その女性とは偶然知り合ったのだ。ところが知り合った途端にファックする。ファックされた女性は、怒るどころか、すっかりブランドのとりこになってしまうのだ。その女性はファックされた局部をさすっていたから、よほど痛かったにちがいない。にもかかわらず、性懲りもなくファックされたがるのだ。

彼らは互いに相手の素性を知らないことにして、純粋にセックスを楽しむ。女性には他にフィアンセがいて、セックスの相手には困らない筈なのだが、なぜかブランドとやることを好む。そのうちブランドは、女性の肛門にバターを塗って、そこに自分の男根をはめ込むのだ。女性は屈辱を感じるようだが、しかしそのことでブランドを嫌ったりはしない。あいかわらずブランドとセックスすることを楽しむのだ。

そのうちブランドの素性が、観客には明らかにされる。かれの妻はホテルを経営していて、ブランドはひものような暮らしをしていた。その妻は、ホテルの客と不倫した挙句に、なぜか風呂場で自分の身体を切り裂き、自殺してしまう。そのことでブランドは深い喪失感を覚え、その喪失感を若い女とのセックスで埋め合わせしようとしていることがわかる。

一方、女性の方はそんなことは知らないまま、ブランドとのセックスを楽しんでいたのだが、そのうちブランドが異様な行動をとるようになる。自分との結婚をしつこくせまったり、ダンスパーティの場で尻をむき出して大勢の客を気味悪がらせるのだ。そんなブランドに愛想をつかした女性は、別れたいと言うのだが、ブランドはなおもしつこく付きまとう。そんなブランドを女性は、自分の部屋の中で射殺するのだ。彼女の死んだ父親は軍人で、拳銃を形見に残していたのである。

こういう具合でこの映画は、不気味な中年男とぶしつけな若い女とのアヴァンチュールを描いているわけだが、そのアヴァンチュールというのは、もっぱら乱れたセックスに尽きるのである。とにかくブランドは、自分の一物を女性の肛門に入れるだけではなく、自分の肛門にも女性の指を入れさせて快感を覚えるのである。こうした異常な行為が、この映画をスキャンダラスなものにして、それなりの反響を呼んだということだろう。







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