寒菊水禽図:円山応挙

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「寒菊水禽図」と題したこの絵は、「飛雁芙蓉図」と夏冬一対をなすもの。冬の冷たい氷の上を遊ぶ水禽を描いている。応挙四十一歳の時の作品である。

応挙はこの絵を、定家の月次花鳥歌を意識しながら描いたと考えられる。定家の歌の十二月の部は、「水鳥」と題して、「水鳥 ながめする池の氷にふる雪のかさなるとしををしの毛衣」と詠んでいるが、この歌の中から応挙は、「池の氷」と「をし」つまり「オシドリ」を取り上げているわけである。

このように、日本の伝統に新しい写実を重ねるところに、応挙の新しさがあった。

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これは、オシドリの部分を拡大したもの。池の氷を胡粉の白で強調している。






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