開催が危ぶまれ始めた東京オリンピック

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新型コロナウィルスの蔓延が収まらない状況の中で、東京オリンピックの開催を危ぶむ意見が世界中で出始めた。なかにはオリンピックの中止あるいは他都市での開催を真剣に論じるものまである。もっとも日本国内では、そういう意見は、有力メディアではほとんど報じられていない。そんなことをしたら、せっかく盛り上がっているオリンピック気分に水を差すことになるし、安倍政権に憎まれること請け合いだからだろう。

日本のオリンピック関係者は、楽観を装っている。これから気温が暑くなるから、ウィルスの蔓延も収まり、夏までには影響はなくなるというのがその理由だ。それには過去にサーズウィルスが春以降急速に終息したという事実がある。しかし、専門家によれば、コロナウィルスが熱に弱いかどうかは、まだ確認されていない。そういう情況で、春以降納まると言うのは、事実に裏付けられているわけではなく、単なる希望的観測に過ぎない、と批判されている。

東京オリンピックの中止を云々する人々には、日本への不信もあるようだ。2020オリンピックの選定会場で、当時心配されていた福島原発の影響について、アンダーコントロールだと安倍総理は強調したが、実際にはそうでなかったことは、その後世界中に知れ渡ってしまった。また、今般のダイヤモンド・プリンセスへの対応についても厳しい批判がなされている。これは隔離というよりは、ウィルスを培養するようなものだというわけである。日本人は防疫の意味を全く理解していないのではないかとの厳しい指摘もなされている。

日本人が防疫の意味を全く理解していないとは筆者も思ってはいない。ちゃんとした専門家に対応させていれば、きちんとした対応をしたはずなのだ。それがそうならなかったのは、知識をもたない政治家たちが、独断的に対応したからだろう。この問題についての政府側の担当者は、例の不倫騒動で世間を騒がした女性医官らしいが、彼女がこの問題を正確に理解しているとは到底思えない。そういう人間が旗を振って、専門家が事実上関与していないわけだから、問題がこじれるのは自然の勢いである。

こうしてみれば、今回の日本でのコロナウィルス騒ぎは、人災の側面がかなり強いと言えるのではないか。

ところで、東京オリンピック中止の可能性は、ほとんどないと言ってよいのではないか。すでに巨額の資金が投じられているわけだし、また世界中のテレビ局やスポンサー企業も巻き込んで、巨大な利権共同体が形成されている。その連中が、オリンピックの中止には徹底的に抵抗するだろう。その抵抗を押し切るのは、かなりむつかしいのではないか。





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