竹をモチーフにしたこの一双の屏風絵は、題名にもあるとおり「竹」を通じて雨や風を描いている。その雨やら風は、表面上は目に見えないが、竹の動きを通じて伝わってくるように描かれている。その描き方から見て、左隻が雨、右隻が風を描いていることがわかる。
両隻とも、墨の濃淡を利用して遠近感を演出している。すなわち遠くの竹は薄く、近くの竹は濃く描くことで、遠近感をあらわしているわけである。
遠近感はまた、竹の根元をジグザクにすることでもあらわされている。これらの屏風を折り曲げて左右に配置し、その間に入ってそれらを見回すと、その遠近感は更に現実性を帯びて伝わってくるはずだ。
これは、右隻。風に激しく揺れる竹のざわめきが伝わってくるようである。
(安永五年<1776> 紙本墨画 六曲一双 各160×354cm 円光寺 重文)
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