音楽家たち:カラヴァッジオの世界

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1595年から数年間、カラヴァッジオはデル・モンテ枢機卿の世話になる。枢機卿の屋敷は、ローマのナヴォーナ広場の東隣にあった。パラッツォ・マダーマという広大な邸宅だ。ここにカラヴァッジオは、弟分の美少年で、男色相手と目されるマリオ・ミンニーティとともに移り住んだ。この邸宅滞在中に、カラヴァッジオは一流の画家としての名声を確立していくのである。

「音楽家たち」は、デル・モンテ邸時代の比較的所期の作品だ。デル・モンテ邸では頻繁に演奏会が催されていたが、この絵はそれをテーマにしたもの。ただし実際の演奏会の様子を描いているとは限らないようだ。というのも、この絵の中に出て来る人物たちは、みな半裸であり、卑猥な雰囲気さえ感じさせる。これらの若者たちは、カラヴァッジオが付き合っていた悪童ではないかとの説もある。

技術的には飛躍的な進歩が見られる。もっともそれは、彩色技術のうえでの進歩で、めりはりのある明暗対比が効果的だ。しかし構図にはやや難点がある。四人の人物が画面にうまく収まっていないし、全体にごちゃごちゃした印象を与える。しかし楽器や果物の描き方はうまい。

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四人の人物のうち、右から二人目はカラヴァッジオ自身の肖像だ。「病めるバッカス」の自画像と比較すると、こちらのほうがはるかに生き生きと描かれている。この時のカラヴァッジオは24歳だが、年よりは幼い印象に見える。

(1595年頃 カンバスに油彩 92×118.5㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)






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