米軍の共和党離れをどう見るか

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アメリカの軍隊は、伝統的に共和党寄りだった。軍人出身の大統領アイゼンハワーは共和党員だったし、過去の大統領選挙では、軍人たちの共和党候補への支持が目立った。トランプでさえ、軍人からの支持はヒラリーを上回ったのである。ところが最近、そうした傾向に異変が起きているという。バイデンへの支持がトランプを上回ったとの調査結果が出ているのだ。

これは共和党そのものへの支持低下というよりは、トランプへの批判の現われで、したがって厳密な意味での共和党離れということではないらしい。トランプが辞めれば、共和党への支持が回復する可能性があるようだ。

米軍が共和党贔屓なのは、どういう理由からか、明確な回答はない。共和党のほうが保守的で、愛国心にうったえる傾向が、民主党に比べて強いという事情もあるだろう。それに、共和党は民主党に比べて戦争への意欲が強くなかったということもあるようだ。20世紀の戦争で、アメリカのかかわった戦争は、ほとんど民主党の大統領が主導している。第二次大戦にはルーズベルト、朝鮮戦争にはトルーマン、ベトナム戦争にはジョンソンといった具合だ。21世紀に起きた一連の戦争は、共和党のブッシュが主導したものだが、これは、少なくともブッシュの意識の中では、売られた戦争であって、好き好んで起こしたものではなかった。

軍隊が、戦争に対して抑制的な政党を支持するというのは、面白い現象だが、ありえないことではない。トランプの場合についても、ヒラリーよりは戦争に抑制的だと受けとられていた。実際トランプは、戦争への意欲をほとんど感じさせないくらい、抑制的である。そうした姿勢が、当初は米軍の好感をかったのかもしれないが、大統領就任後のあまりにもでたらめな行動が、軍人の批判をもたらしたことは十分考えられる。とくに、ロシアの介入を許したこととか、自分の個人的な利益を国家の安全に優先させるかのような行動は、心ある軍人たちの憤懣を招くに十分である。

トランプの、いわゆる岩盤支持勢力としては、もう一つキリスト教福音派があるが、こちらでもトランプ離れが進んでいるという。神を冒涜するかのようなあまりにも不道徳な行動が、心ある宗教家の顰蹙をかっているということらしい。





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