「ガースー」を走らす支持率の数字

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菅首相がいわゆる「ゴーツー」事業を、一時的ではあるが、全国一律に中止すると決定した。ついその前までは、引き続き実施すると明言しており、その根拠として、旅行による移動はコロナの発生と結びついていないと言っていたのだが、それが急に中止の決定になったわけだ。その影には菅政権への劇的な支持率低下という事態がある。政権発足時には歴代政権と比較して高い支持率を誇っていたものが、わずか三か月で、40パーセント前後の低い支持率へと変った。不支持のほうは五割に迫っている。このままだととんでもないことになる恐れがある。そうした懸念が今回の決定に結びついたと見える。

たしかに国民の菅首相への視線には厳しいものがある。最大の問題は、菅首相の判断の甘さであり、政治運営の稚拙さである。判断が甘いという点では、コロナ危機の深刻さをわかっていない、読み違えているといったところに現れている。また政権運営の稚拙さという点では、リーダーとしての情報発信がまったくなっていない。何を聞かれてもまともに答えようとしない。「何ごとも明確に発言することを差し控える」、の一点張りである。これでは国民は首相が何を考えているかわからないし、あるいは何も考えていないのだろうと勘繰りたくもなるというものだ。それが菅内閣への劇的な支持率低下の根本的な原因だと思う。だから菅首相は、もしも長く首相の座にとどまりたいと思うならば、国民に対して誠実な態度をとるべきなのである。いままでのように、木で鼻を括るような態度を続けていたら、支持率低下を通り越して、手厳しい拒絶にあうこと間違いない。

ところで菅首相は、最近ネット上のインタビューに出演して、その際に「ガースーです」と自己紹介したというので話題になった。言葉自体の異様さに加えて、それを言う際の表情(ニタニタ顔)がいかにも菅首相らしいというので、余計に評判になったようだ。小生などは、「ガースー」とはいったい何なのか、はじめはよくわからなかったが、どうも「スーガー」を逆さまにしたもののようだ。誰のアイデアか知らぬが、菅首相本人は気にいっているようである。理由はわからない。「スーガー」を「ガースー」と言い換えるのは、「アホ」を「ホア」と言い換えるようなもので、気の利いた言い方だとは誰も思うまい。

ふつうは、言葉を逆さまにすると、イメージが悪くなるものだ。「アホ」もイメージの良くない言葉だが、「ホア」はもっと良くない。ハムレットが母親を罵る時にも「ホア」と言ったものだ。その言葉についての「明確な発言は差し控えたい」と思う。ともあれ今回は、さすがの「ガースー」さんも、支持率という数字に走らされた形だ。





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