原爆投下を命令したトルーマンを悪魔指定すべき:核兵器使用への抑止措置として

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国連が主導した核兵器禁止条約が2021年1月22日を以て発効した。米ソはじめすべての核保有国と唯一の被爆国である日本が参加していないので、その有効性を疑問視する見方もあるが、しかし全く無力というわけでもない。核兵器の非人道性が確認され、その使用はもとより、保有や開発まで禁止しているので、実際に核兵器を使用しようとする者には一定の抑止効果があるといえる。条約によって拘束されていなくとも、その行使が非人道的な行為として国際社会に糾弾されるからだ。誰も悪人呼ばわりされることを、ヒトラーやトランプのような者を別にすれば、好んでする者はいないだろう。

とは言っても、国際社会による非難よりも、自国の安全を重視して、核兵器の使用に踏み切る政治家が現われないとも限らない。そこでそうした政治家でも、核兵器の使用が徹底的にためらわれるような措置が講じられてしかるべきだろう。例えば、核兵器を使用して無垢の人々を殺害した人間は、人類共通の敵として認定するとか、あるいは、とくにキリスト教圏においては、そのような人間を悪魔に指定するといった措置だ。たとえヒトラーやトランプのような人間でも、悪魔の汚名を蒙ってまで核兵器の使用に踏み切ることはないのではないか。

要は、悪いことをしたら相応のお仕置きを受けるということを、世界中の人間に知らしめることだ。核兵器を使用したら間違いなく悪魔あるいは人類の敵という汚名を蒙る。そういう認識が人類全体によって共有されれば、あえて核兵器を使用するという判断をする政治家は出てこないと思う。

これまでに無垢の人々を対象に核兵器を使用し、膨大な数の人々を殺害した人としてはアメリカの政治家トルーマンがあげられる。ところがトルーマンの行為は、アメリカでは正当なものとして容認されて来たし、世界中を見渡してもトルーマンを厳しく攻める意見はあまり聞かない。原爆を落とされた日本でも、トルーマンを非難する声は殆ど聞かないし、原爆投下の直接の責任者であったルメイなどは、佐藤栄作内閣によって最高位の勲章を授与されたほどだ。その際に、大岡昇平のように、佐藤内閣を厳しく批判した者はいたが、それは少数意見だった。大多数の日本人は、同胞に原爆を見舞わせた者への勲章授与について、全く異論を唱えなかった。

それでは、核兵器使用について罪の意識が高まることはないだろう。原爆を投下しても、殺人の責任を問われるどころか、勲章をもらえるとあっては、誰も核兵器使用をためらうわけがない。こういう異様なことが、これまではまかり通ってきた。それはやはりまずいことだ。改めねばならない。その第一歩として、今回の核禁条約の発効があるわけだが、それに重ねて、先ほど述べた悪魔指定の措置を導入したらどうか。その上で、人類で最初に原爆投下を命令したトルーマンを、原爆悪魔第一号に指定したらどうか。そのトルーマンへの批判が世界規模で高まれば、誰もトルーマンの轍は踏みたくないと思うのではないか。あまりに甘い見方だろうか。





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