大坂なおみ選手を激励する

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テニスの大坂なおみ選手が、全仏オープンに出場中、大会主催者が義務付けた記者会見に応じなかったことで大きな反響を呼んだ。全仏オープンを含めたいわゆる四大大会の主催者たちは、この事態を重く見て、二回戦後にも同じ行動をとれば、今後四大大会から追放すると脅迫した。

これについては多くの意見が巻き起こっているが、こと日本に関しては、「長いものには巻かれろ」といった卑屈な意見が多いようだ。昨夜のテレビ番組でも、テニス出身のタレント松岡修三が出て来て、どういう事情があるのかわからぬが、このままでは大変なことになるから、大坂は適切な説明をするなど、事態をこれ以上悪化させないことが必要だ、というような言い方をしていた。日本人の大部分の意見を代弁したものといえるのではないか。

主催者側の態度を一切疑問視せず、問題の責任を大坂一人に負わせる片手落ちの言い方だといわねばならない。説明してわかってもらえる相手なら、大坂といえども説明したに違いない。説明してもわかってもらえないから、このような態度に出たと見るのが自然な見方ではないか。

大坂は、人気があるとはいえ、ただの非力なプレーヤーである。一方大会主催者は巨大な権力を持ち、その権力でプレーヤーたちを自由に動かす力をもっている。かれらの唯一の動機は金をもうけることであり、プレーヤーはそれを実現させるための商品に過ぎない。こうした関係を背景にした大会主催者の高圧的な姿勢が大坂を「反抗」に追いつめたと見るべきである。

いまやスポーツは国際化し、スポーツイベントの主催者は、世界中から金を巻き上げるようになっている。そのためには、プレーヤーは最大の商品価値を持たなければならない。余計なことはいわず、淡々とプレーしていればよいのだ。かれらにとってプレーヤーは、商品であるとともに、生きた人間としては奴隷か、あるいは風俗嬢のようなものに過ぎない。風俗嬢は、女衒のいうことを聞いて客にサービスすればよいのだ。今回の大会主催者の態度には、こうした傲慢で反道徳的な考えが色濃く反映していると思わざるを得ない。

小生としては、大坂なおみ選手に拍手を送り、激励したい。こうした事柄には、大きな反動が伴なうのは歴史の常識だ。だが歴史は、正しいものが最後に勝利することを教えてくれる。あのルターでさえ、巨大な権力に挑戦し、すさまじい迫害を受けながらも、最後には勝利を収めたではないか。大坂なおみ選手にも、正義が味方するかぎり、勝利の可能性はある。この場合勝利というのは、大坂選手をはじめ、プレーヤーが奴隷や商品としてではなく、人間として尊重されるようになることを意味する。

残念なことに、今回は、大坂なおみ選手が二回戦以降の試合に棄権することを表明したことで、問題がこれ以上大きくなることは避けられた。しかしそれは、解決したということではない。今後大坂選手がなおも改革への意思を表明するならば、小生は、すでに古希を過ぎた老人ではあるが、非力ながら激励を続けたいと思う。頑張ってください。





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