人麿図:曽我蕭白の世界

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「人麿図」は、歌聖柿本人麻呂をモチーフにした作品。これにも蕭白の遊びが読み取れる。人麻呂は一応筆をもった姿で表現されており、歌詠みの雰囲気が読み取れないわけではないが、しかしその表情からは粗野な印象が漂ってくる。歌聖というより、そのへんの下手な歌詠みの老人といった具合である。

伝説的な人物を茶化して描くのは蕭白の得意芸で、それがこの絵にも現われているということだろう。

衣装をざっくりとした筆使いで描く一方、表情はかなり綿密に描いている。しかも髭や輪郭線を薄い色で表現する一方、目玉は濃く描くなど、墨使いにメリハリをきかせてある。

落款には、「式部卿法眼蛇足十世曽我蕭白平潔明筆」とある。例のほら吹き振りである。

なお、この絵を伝えてきた満福寺は、京都宇治にある黄檗宗の寺で、インゲン豆で有名な隠元和尚が開いたといわれる。

(1767年頃 紙本墨画 125.5×56.2cm 






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