富士・三保松原図屏風:曽我蕭白の世界

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蕭白の「富士・三保松原図屏風」は、二点が伝わっている。一点はここに紹介する三保美術館所蔵のもので、旧パワーズ・コレクションだったもの。もう一点は、ロンドン・ギャラリー所蔵のもの。どちらも、左隻に富士を配し、その図柄はほとんど違わないが、右隻は大分違う。ロンドン・ギャラリーのものは、三保の松原に昇龍の組み合わせ、一方こちらは虹を組み合わせている。

上は左隻、富士図。富士の描き方は、山容に厚みを感じさせ、かなりユニークである。麓に林や人家を配し、背景として他の山を配している。甲斐の山だろうか。

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これは右隻、松原図。三保の松原の上空に虹がかかった構図だ。手前に松原の松の並木が描かれ、背景には富士らしき山が描かれているが、実景の富士はもっと大きく見えるはずだ。松原に焦点をあてるために、わざと富士を矮小化しているのだろう。

(1762年頃? 紙本墨画淡彩 六曲一双 各172.0×378.0cm 三保美術館)





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